北海道の朱鞠内湖でイトウに挑む



今年も秋の北海道へ。死ぬまでに釣りたい魚は何種類か心の中に温めてはいるけど、今回はついにその一つであるイトウに挑む旅に決めた。日本最大の淡水魚で北海道の一部の河川や湖沼にしか生息しない魚。10年から15年を生きるイトウは一般的には幻の魚と言われているけど、今では地元の方の尽力で釣りの対象とすることができる。

 

行く前にはAmazon Prime Videoでアイヌの文化が紹介されているアニメの「ゴールデンカムイ」を見て気分を高めていった(笑)。その中ではアイヌの伝説で巨大なイトウが熊を飲み込んだという逸話が紹介されていた。

 

 

これは釣りあるあるだけど、インスタやフェイスブックなどの各SNSには釣った写真ばかりが上がってくるので、誰でも釣れそうな気分になってしまうけど、実際はその何倍も釣れない人がいるわけで、実際はそう簡単ではない。後で宿で一緒になった人達にも聞いたけど、最初の頃は全く釣れなくて、何回も訪れてようやく釣れたということだった。

 

今回挑む場所は北海道の朱鞠内湖(しゅまりないこ)。旭川空港から車で2時間ほどの深い森の中にある日本最大級の人造湖。フィヨルドの様な地形の奥に無数のポイントが存在する。

 

 

 

現地に到着するとあまりの静けさに驚いた。騒音というものが一切無い。聞こえるのは、鳥や獣の鳴き声、風の音、枯れ葉が落ちる音だけだった。

 

 

 

宿泊はレークハウスしゅまりないさん。ここは本当に釣り人に優しい。釣り人向けに「釣りパック」というのがあって、夜明けの出発に合わせてご飯を持たせてくれる。釣りから帰ってきたら暖かいお風呂に入って、美味しい食事が待っている。前泊となる初日の夜の食事は力をつけるためにジンギスカンを頼んでおいた。

 

 

 

 

地元の人はマイボート持ち込みでやっている人もいるけれど、基本的には漁協で出している渡船を利用して各ポイントへ移動することになる。この時期の釣りは日の出から日没まで。出船は5時半と聞き、前の晩は釣りの準備を早々に終えてすぐに就寝することにした。

 

 

 

釣り人の朝は早い。翌朝は朝の4時半に起きて準備をスタート。乗船手続きなどを済ませて、夜明けとともに出船開始。濃い霧の中を漁協の方たちがGPSを頼りに進んでいく。切り株が出ていたりするので、GPSが無ければ厳しいだろう。

 

 

 

ポイントはよく分からないのでオススメの場所へ連れてってもらう。この日は湖の奥の方へ。霧が立ち込め、否が応でも気分が盛り上がってくる。

 

 

 

まあ、初日の朝から簡単に釣れるわけはない。いつか来るアタリを信じて投げ続けるしかない。皆が口を揃えていうのは「風が吹いたら釣れる」。しかし目の前には鏡のような湖面が広がるのだった。

 


 

 

朝から投げ続けてそろそろランチ休憩かなという時に、その時は突然やってきた。湾の奥へ移動していくと悠然と泳ぐイトウが見えた。奥に流れ込みがあり、差してきていたのだ。慎重にストーキングして、魚も人も落ち着いたタイミングで目の前にフライをそっと落とした。それを見つけたイトウはスーーーッと近寄り、何の疑いもなくフライを咥えた。

 

 

 

ネットに収まったのはまぎれもないイトウの魚体だった。サケ目サケ科イトウ属。これまで釣ったどんな魚とも違っていた。ひさびさに痺れる魚だった。

 

 

 

魚の体力の回復を待ってやさしくリリース。

 

 

 

その後も夕方までやったけれど、何も起こらなかった。

 

 

 

宿に帰ってお風呂に入り冷えた体を温める。今日の食事はひとりダッジオーブン。そしてまた明日の釣りに備える。

 

 

 

2日目は夜の便で帰るため、釣りは午後2時まで。この日も朝から頑張ってみたが、何も起こらなかった。まさに帰ろうとしたときに雨がポツリと降りだした。これからという時に名残惜しかったけど、ゆっくり後片付けをして帰路についた。

 

 

 

今回はじめての釣行で幸運にもイトウを釣ることができた。体力的にもキツい2日間だったけど、日の出から日の入りまで、一切の騒音の無い世界でポイントにひとり、釣りに没頭する時間は何にも代えがたい贅沢な時間だった。またいつか戻ってきたい。

 

 

 

 

 



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