江戸前のシロギス釣り



 

今年も江戸前の釣りを勉強する機会に恵まれた。まだまだ残暑の厳しい9月の初旬に、みんなでシロギス釣って、屋形船で天ぷらを食べようという貴族の遊びのような企画。もちろん万障繰り合わせて参加してきた。

 

今回の船宿は深川冨士見さん。なんと現在の大将は六代目という、老舗も老舗の船宿。創業は江戸末期というからまさに江戸前の釣りの歴史を知るには最高の船宿。しかも講師として迎えるのは釣り雑誌で有名な「つり人社」の鈴木会長、そして雑誌「釣り情報」の根岸さんという豪華布陣で、死角は無し笑。出船前に軽くレクチャーを受け、朝7時ぐらいにゆっくりと出船した。

 

一路、木更津沖へ。深川からは船で40~50分ぐらい掛かる。まずは東京オリンピック2020の工事の進捗確認から笑。とりあえず順調のようです。

 

 

 

ポイントに到着すると海はベタ凪で風も無く、とにかく暑い。右舷の船長の横に陣取っていたので、終始日陰に入れたのはラッキーだった。仕掛けはテンビンに二本針のオーソドックスなもの。釣りはまあまあ好調。良い間隔で釣れてくる。

 

 

 

この魚は外道で釣れたギマ。はじめて見たけど、なんかヌルヌル。食べられないことはないらしいけど、迷うことなくリリース。外道とはいえ、しっかりと上アゴに針掛かりしている点を釣り人としては強調したい。

 

 

シロギスも針を飲まれやすいらしいけど、8割ぐらいは上アゴに掛けていた自分を褒めてあげたいと思います。ちなみに飲まれたらエラから親指と人差し指を入れて針をウネウネと引っ張ると取り出すことが出来る。

 

結局上がってみれば、10~40匹といったところだっただろうか。やはりエサ釣りは手返しとエサの付け方で釣果の差が大きく出る。エキスパートの方は流石の釣果だった。それでも全員おみやげには十分な量が釣れていて、大満足。今回はお気軽レンタルタックルだったけど、意外に良い道具が欲しくなる釣りだった。

 

 

 

エサのゴカイを触るのが苦手な方はパワーイソメでも普通に釣れておりました。

 

 

次はいよいよお待ちかねの屋形船でのお食事。エアコン最高笑。聞くところによれば、屋形船で出される料理というものはどこよりも新鮮らしい。というのも、船宿とか屋形船というのはある意味で特別に認められている利権商売なので、絶対に問題を出さないように気を付けているからとか。確かに、揚げたてで出される天ぷらは、イカ、コチ、シロギス、シシトウ、サツマイモなどなど、どれも最高だった。


 

 

 

つり人社の鈴木会長のお話を聞く。釣り業界の全てを知る生き字引のような方なので、興味深いお話ばかり。

 

 

話の中で、日本釣振興会の名誉会長を務める麻生太郎さんは、会で江戸前のシロギスの天ぷらを食べた時に、世界一旨いと評したそうだ。あれだけ世界を旅して旨いもの食べてる人が言うんだから間違いないだろう。

 

また昔の釣りの達人達の話で、今の様な良い道具も無い中で、シロギスに針を飲ませて数を伸ばすようなことはせず、全てきっちり上アゴに針を掛けることを良しとしていたとのこと。自分もそういう良き釣り人になりたいものだ。

 

六代目からも歴史についてお話をいただく。江戸末期に江戸城に仕えていた武士だった初代が、新政府軍が攻めてくる時に、なんとか家族が食べられるようにと、女性でも始めやすい釣り宿を始めたのだそうだ。

 

また、冨士見の「冨」の字には富士山の「富」の字とは違って点が付かないのは、富士山と同じ字にするのは恐れ多かったからなどなど、話はあちこちへ脱線しつつも、べらんめえ口調で話されるお話はすべて面白かった。

 

 

 

家に帰ってからは釣ったシロギスをひらすら捌く作業。シロギスを綺麗に開くのは意外に繊細で難しいのよ。

 

 

夏の終りの江戸前の釣りという素晴らしい体験ができた。釣りも楽しむだけならシンプルで初心者でも仲間とワイワイ楽しめるし、極めるならそれだけの奥深さもある釣り。江戸前の粋な世界を満喫した一日だった。

 

また行きたいな。

 

 

 



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